派遣先での女性社員のセクハラ被害の責任:

 

派遣元と労働者の間には雇用関係があるが、派遣先は指揮命令権を行使するに過ぎず直接の雇用契約はない。

原則として、セクハラの防止義務は事業主に課せられている。

よって、派遣労働者は派遣元に訴えるしかない。この場合は、派遣先は、当面、矢面に立つことを免れる。

 

派遣法でのセクハラに関する特例:

派遣法第47条の2「派遣労働者の役務の提供を受ける者もまた、派遣労働者を雇用する事業主とみなして、均等法の規定を適用する」との定めより、派遣先だけが全ての責任を追うわけではありませんが、派遣先も、相応の事業主として必要な措置を講ずる義務が生じる。派遣先に訴えが来た場合は、派遣先が対処することとなる。

 

事業主のセクハラ防止義務:

セクハラ防止指針:「相談及び苦情への対応」:

「派遣先の事業主は、セクハラ防止指針3の(2)にのっとって、派遣労働者についても必要な配慮をしなければならないこと。なお、派遣元の事業主が必要な配慮をしていると認められる例としては、例えば、自ら使用する労働者同様に派遣先事業場に派遣した派遣労働者等からの相談・苦情についても対応することができる体制を整えておく等の措置を講ずることが挙げられること」

セクハラ防止指針3の(2):「事業主は、相談・苦情への対応へのための窓口を明確にすることについて配慮をしなければならない。(具体例)@相談・対応に対応する担当者をあらかじめ定めておく、A苦情処理制度を設ける。

また、事業主は、相談・苦情に対し、その内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応することについて配慮しなければならない。(具体例)@相談・苦情を受けた場合、人事部門との連携等により円滑な対応を図ること、A相談・苦情を受けた場合、あらかじめ作成したマニュアルに基づき対応すること」